夏がこんなにも鮮やかなのはどうしてだろう。
赤、りんご飴。
君と歩いた夏祭り。
オレンジ、暮れる夕日。
帰りたくなくて、離れたくなくて。
黄色、向日葵。
見上げる高さに君は笑う。
緑、山々の稜線。
あの向こう側へ君は思いをはせて。
青、輝く海。
なによりも君が眩しいだなんて、気障なセリフがついこぼれる。
藍、君の浴衣。
あの日よりも大人びた君に見惚れた。
紫、夜を待つ空。
今、大輪の花が打ちあがる。
あの日の虹は、鮮明に――。
夏が鮮やかなのは、君が隣にいたから。
【真夏の記憶】
8/13/2025, 5:18:28 AM