ここはどこ…?
誰もいないの…?
周りを見渡しても花畑が果てしなく
広がっているだけ。
あ、人がいる。
花かんむりを作っている人を見つけた。
おそるおそる近づいてみる。
ふんわりとした白いワンピースを着て、
頭には花かんむりをのせている。
まるで天使のようだ。
「あの…。」
声をかけるとその人はふりむいた。
「え!?先生…?」
ありえない。なんで先生がいるの?
「なんであなたがここにいるの?」
先生はそう聞いてきた。
それは私のセリフだよ…?
数ヶ月前、突然先生は病気で亡くなってしまった。
先生がいない日々は楽しくないし、
私はどんどん無気力になっていった。
先生の写真を見ながらいろいろなことを思い出して
涙を流す毎日。
ねぇ、どうして?なんで先生なの?
私を置いて行かないでよ…
気づいてあげられなかった、
先生ともっと思い出を作っておけばよかったと
何度後悔したか。
先生に伝えたいことはまだたくさんあったのに。
でも、ここで出会えってよかった。
そう思っていると、突然先生は怒りだした。
「あなたはまだここに来ちゃだめ!早く帰りなさい!」
私は先生が怒っているのを見たことが無かったし、
すごく困惑した。
「なんでそんなこと言うの?ここはどこなの?」
先生はその質問に答えてくれた。
「ここは死後の世界。後悔が残ってる人、誰かを待ってる人たちがここに集まってるの。」
「じゃあ、先生はなんでここにいるの?後悔してることとかがあるの?」
「…そうよ。あなたたちを卒業まで見届けてあげられなかったことを後悔してるの。あとは、私が死んでしまったことで、誰かが傷ついてしまってないかが心残りで…」
先生は少しためらった後、そう教えてくれた。
「そうだったんだ…。ねぇ先生、私の話を聞いてくれる?」
「いいよ、どうしたの?」
「私は先生が死んじゃってから、すごく寂しかったし、何もする気がなくなってたの。先生のあとを追うことも何度か考えた。でもね、先生と約束したじゃん?卒業まで頑張るって。私は先生とここで会えてよかったと思ってる。先生が心配しなくても大丈夫なように、私頑張って生きるよ。だから先生、私たちのことは心配しないで。」
そう伝えると、先生の目から涙が溢れだした。
「分かった、頑張ってね。○○ちゃんがそう言ってくれてほんとに嬉しい。ずっと見守ってるからね。だから、早く帰りなさい。」
「うん…。でもどうやって帰るの…?私、死んだからここにいるんでしょ?」
「あなたを呼ぶ声が聞こえない?あなたはまだ完全に死んだわけじゃないのよ。帰ろうと思えば帰れるわ。だから、あなたを呼ぶ声がする方に向かって行きなさい。そうすれば帰ることができるはずよ。」
「分かった。ありがとう。」
最後に私たちはハグをして、別れを告げた。
涙で前がぼやけて見えにくくなってたし、
先生ともっと話していたくて、さっきの場所へ
帰ろうと思ったこともあった。
でも私は先生との約束を守るため一生懸命歩いた。
気づけば、私は病室にいた。
「戻ってこれたんだ…。よかった。」
私は飲酒運転をしていてハンドルを切り損ねた車に
はねられて意識不明だったらしい。
「私、頑張るよ。先生、見守っててね。」
#花畑
9/18/2023, 8:21:08 AM