髪弄り

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【街へ】
何年漂ったのか、俺にはもうわからない。
数えるのをやめた時すら覚えていない。
いつの日か神様に出会えると信じて、無限の暗闇に身を投じた。それは間違いだったのか。

そう思うことに疑問を感じなくなってしまった。
「いっそこのまま…」
弱音を吐こうと何か変わるわけじゃない、時は残酷だ。

「ー!」
一筋の光が見えた、円筒状でクルクルと回転するそれは、まるで希望への道筋に見えた。

「あの先へ行ってみよう。何かあるかもしれない、いや、何かないと俺はもうどうすれば良いかわからない。」

先にあったのは街だった。大声あげる神々と沢山の玩具、その精巧な姿に思わず感嘆の声をあげた。

「神様にやっと会えた!俺はついにやったんだ!」
咆哮を上げたそれを光が包み込んだ。
それは皮膚の焼ける苦痛に悶え、大きな水滴を零しながら息絶えた。

1/28/2023, 3:51:03 PM