小学生の頃。愛寧は授業中初めて手を挙げた。しかしいざ担任に当てられると、緊張のあまり答えを言い間違え、クラスのお調子者たちにからかわれた。この時を境に、愛寧は『失敗』を毛嫌いするようになる。
その場に合った言動や行動をしなければ、批判される、馬鹿にされる。いつしか愛寧は、失敗の可能性がある機会すら恐れるようになっていた。
空閑はあの時、愛寧と席が隣同士だった。彼自身はもう覚えていないだろうが、泣きじゃくる自分の姿を見られている。これ以上、彼の前で恥を晒すわけにはいかない。
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9/9/2025, 3:19:22 PM