蒼月の茜雲

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テーマ“きらめき”

小学生の時、とても人気がある男の子がいた。
明るい訳でも、暗い訳でもなく
優しくて運動神経が良くて頭も良い。
クラスメイト全員が彼の事を好きだった
(恋愛感情の有無は別)
クラスの男の子の中で、彼は一番身長が低く
可愛がられていて、クラスで【花いちもんめ】とか言う遊びではすぐに
彼の取り合いになっていた。

私も、そんな人気者の彼が好きだった。
私みたいな、人見知りでネガティブで
目立ちもしない(否、悪目立ちはしていた気もしないでもない)、そんな人にも
分け隔てなく言葉をかけてくれる。

そんな優しい人だった。

場所が場所なら、彼は芸能人になっていたんじゃないかと、そのくらいの
オーラ、輝きがあった。

だから、殆どの人は彼を『こーちゃんは、皆のもの。』
そう言っていた。
『抜け駆けは許されない』
そんな暗黙のルールがいつの間にかできるくらい
彼は人気だった。(本人は気づいていない様子)

彼のきらめきが増していくに連れ
周りの暴走も増していく。

私はいつしか、彼になるべく関わらないように
なっていった。

学年が上がり、彼と別のクラスになったら
彼の噂は全く耳にする事は無くなった。

たった、2クラスしか無いのに。
隣のクラスの事なのに。
彼の噂をしないのは、彼の周りにいる人達が怖いから。だと思う事にした。

運動会で、久々に見た彼は、やっぱり
凄いきらめきを放っていた。

同じクラスだったらきっと、彼の眩しさに、浄化してしまいそうなくらいだと思った(気のせい)


それと同士に。ああ、やっぱり私は彼を好きなんだなと、そう理解した。
好きだからこそ、周りの人よりも、きらめいて見える。

多分そういうこと。

9/4/2023, 3:28:42 PM