「あれがベガでね、そっちがアルタイルで、これがデネブ!」
「すごいね、綺麗だね」
「ねー」
星座の図鑑を手に最近覚えたばかりの夏の大三角形の星の名を呼びながら、まだ小さく丸い手を懸命に伸ばす我が子の笑顔に釣られるように自分も笑った。
眼下に広がる星空がきらきらと光を反射する。黒色のカーテンならぬ黒色の絨毯に散らばる無数の星々のなんと美しいこと。残念ながらこの後に掃除機という名のブラックホールに全て飲まれていくのだけれど。
「でもね、お母さんのビーズ勝手に触っちゃ駄目って言ったよね」
「ごめんなさーい」
麗らかな平日。おやつの少し前。お昼寝で体力を回復した無邪気な我が子は今日も元気だ。
/星空
7/5/2023, 12:22:08 PM