「今日だけ許して」
今日の月はお寝坊さんなのか、皆が寝る時間にのこのこと姿を現した。
無音がうるさい真っ暗な夜道に、フラフラな足取りで帰宅した。
扉を開けてもそこには誰もおらず、脱ぎ散らかされた靴に、何日前からも放置している濡れている傘に、脱ぎっぱなしの靴下。
はぁ、と溜息をつき荷物と共にベッドへ倒れるとそのまま睡魔が襲ってきた。
(メイク、落とさないと……あぁ、明日レポート提出だ……えっと……資料は……)
あの山積みになっている本の山の中に資料があることを思い出し全てのやる気をなくした。
せめてメイクだけでもと洗面場へ向かえば、向かう途中の服を踏んでしまいずっこけてしまった。
もう、これは早く寝ろと神さまが言ってるんだ。そうだ。きっとそうだ。
私はもう開き直ることにし、雑に洗顔を済ませたあと服を脱ぎ、ベッドへ再び横たわった。
ブー、ブー、と通知音がなり私は何も考えずにスマホを開いた。
友達からの連絡が入っていた。
グループLINEも動いているようで、何やら今度同窓会を企画するらしい。
私は何度目か分からない溜息をつき、そのまま電源を切った。
今日だけ許して。
10/4/2025, 3:57:55 PM