『仮面のまま歳を重ねて』
大人たちよ、
あなたたちはいつから
立派なふりを覚えたのだろう。
正しさを語る声は震えている。
自信を装う背中は、どこか幼い。
胸の奥では、
十二歳のままの心臓が
不安のリズムを叩いている。
社会という教室では
誰もが机を並べ
「大人とはこうあるべきだ」と
互いに答案を見せ合っている。
だが、答え合わせは永遠に行われない。
誰も正解を知らないからだ。
怒鳴る上司も、
微笑む親も、
背伸びして恋を語る人も、
みな、仮面を貼りつけたまま
“成熟の劇”を演じているだけ。
夜、家に帰ると
仮面の裏側が泣いていることを
自分たちだけが知っている。
大人は存在しない。
あるのは、
大人という影を追いかける子どもたち。
未完成のまま歳を重ね、
未解決のまま責任を背負い、
未熟なまま世界を回している。
けれど──
だからこそ、
たったひとつの真実がある。
子どもであることを恥じぬ者だけが、
本当の意味で成長するのだ。
仮面をそっと外したとき、
きみの瞳に映る世界だけが、
大人という幻想を超えていく。
11/17/2025, 4:27:59 PM