柊戯

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夢を見た。

何かから必死に逃げる夢。

怯え、震え、立ち止まることを恐れ走り続けた。

しかしいつも暗闇に呑まれる寸前で目が覚める。

だが、今日は違ったのだ。

ー「マテ、、、」

「やだっ来ないで!!」

ー「マッテ、、オイテイカナイデ」

「はぁっはっはぁはぁっ」

ー「ドウシテオイテイクノ」

「、、え?」

ー「ミンナワタシヲステル」

それは過去の自分だった。

よく見てみれば見た目も過去の自分そのもの。

何だか放っておけない気がして彼女に近づいた。

ー「ワタシヲタスケテ」

彼女は幼子のように泣きじゃくる。

逃げていただけなのだ。

過去の自分を置き去りにし現状から逃げていただけ。

「ごめんね。今助けるから、、」

ー「タスケテ、、クレル?」

「うん、貴方をいや、私を助ける」

ー「ありがとう。もう、逃げないでね」

彼女はそう言うと塵となって消えていった。

私は覚悟を決め前を向くと光の方へ走り出す。

「もう二度と逃げないよ。私は私を傷付けない」

それから目が覚めると何時もの日常が待っていた。

だが、少し違うのは、、。

「今度こそ終わらせてみせる。この日常を」

それからもう二度とあの夢は見なくなった。

心の奥底白い箱の中で2人の少女と少年は少女を見守るように微笑みながら見つめている。

ー「君はもう強くなったんだよ」


END

お題 「ただ必死に逃げる私。何かから逃げるように」

5/30/2023, 1:06:44 PM