「貴様は、今、何を為そうしている。」
「さあ、何のことでしょうか。」
私の臣下である男は、不敵に笑う。
全く、小賢しく、食えない奴だ。
奴のような人間を、俗は天才と呼ぶのだろう。
自分で言うのも何だが、私の頭は相当切れる方だ。
しかし、奴には敵わない。
何と恐ろしい奴を、弟は遺して逝ったのだろうか。
本来なら、奴のような人間は人を寄せ付けない。
どれだけ有能だろうと、奴のような人間には信頼が置けない。
しかし、奴の右腕たる彼が、それを可能にしている。
「本当に貴様は、彼が右腕で幸運だったな。」
「はい。半ば無理やり、彼を右腕にした甲斐がございました。」
「本当に感謝しておけ。
貴様の右腕が彼でなければ、私は貴様を臣下にはしなかった。」
「我(わたし)も貴男様のお立場なら、我のような人間を起用致しません。」
「分かっているなら良い。
貴様が企んでいる事の顛末は、彼に聞くとしよう。」
「承知、致しました。」
2/26/2024, 11:02:46 AM