渚雅

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"3"

白い吹き出しを囲む緑色の連絡アプリのアイコンが示す数字。右上で赤く主張する"3"というその文字が自分の臆病な心を象徴するようで,視界に入る度に心にモヤがかかったような気分になる。

未読の連絡数を示すそれは常には表示されないもので,けれどここ数日間に限っては誇張するように存在を強調してくる。


あの人からの連絡だとトークでの赤いそれが伝えてくるからこそ尚更開くことを躊躇ってしまう。普段なら喜んで一刻も早く返信するというのに。

"ごめん"そんな言葉から始まる連絡をどうして受け入れられようか。例え何が変わらないのだとしても,だからこそ。その数字が消えることはないだろう。いつまでも。


『受け入れなければ終わらない。そうだよね?』

そんなはずないと知りながら微笑んだ姿はそれでも何故か美しく麗しいのだと,その形を反射する物言わぬ硝子だけが知っていた。






テーマ «開けないLINE»

9/1/2023, 12:11:41 PM