Ryu

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職場の窓から見える景色はなかなかイイ。
東京タワーもスカイツリーも新宿都庁ビルも見える。
夜景も綺麗だし、残業しててもちょっとした慰めになる。
でも、ここにいたら、一番見たいものが見えない。

我が家だ。

もしも、再び震災が起きたら、その時はここにはいたくない。
高層ビルのリスクの問題もあるが、生命に関わる状況下において、一緒にいるべき相手はここにはいない。
この窓から見える景色の中に、数えきれないほどのたくさんの人達がいるはずだが、その誰もが、私の人生に関わりを持たない人。
顔も知らず、言葉を交わすこともなく、一生を終える人達。

職場には見知った顔がいくつもあるが、それでも、家族のように命がけで助け合える仲間はいないと思ってる。
それはそれで少し淋しい話だけど、それぞれの人達に、それぞれ守るべき存在が他にいるはずだ。
映画のようにカッコ良く、皆を助けるヒーローにはなれないな。
真っ先に家に帰って、家族一丸となって生き延びる策を練りたい。

窓から見える景色の話から遠ざかったが、この東京の風景、築き上げられた文明を感じるとともに、そのための努力が一瞬にして崩れ去る儚さも感じ取ってしまう。
こんなに高いところから見下ろしているからか、すべてがミニチュアの箱庭を見ているみたいだ。
ジャングルジムのてっぺんとは違う。
ゴジラや進撃の巨人、マシュマロマンなんかに踏み潰される様を思い描いて、悦に入…もとい、戦慄してしまう。

そしたらこの窓は、大スペクトル映画のスクリーンにもなり得るな。
…いや、破壊されるミニチュアセットのうちのひとつか。
いずれにせよ、仕事の合間に窓から見える景色を堪能しながら、そんな妄想に耽ってサボっていることが浮き彫りになった訳だ。
窓際に席を移されて、干されることのないように気をつけないとな。

9/25/2024, 2:04:23 PM