きらの。

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1000年先も


「私はもう逝きます。」
彼は人間でいうと20代後半ぐらいの見た目でそう言った。だいたい、吸血鬼なんてみんな若い容姿のままこの世を去る。
「この、12000年間君のおかげで幸せだった。」
彼は私にそっとキスをした。少し牙が当たって痛かった。
(出会った頃とキスの下手さは変わらないな。)
そう思い、頬が緩む。
彼は私の頬を撫でながら言う。
「私が居なくなっても私を愛してくれるかい。」
「私だってあと1000年でもしたら貴方の元に行きますよ。まぁ、その間にあなたの事なんて忘れてしまうかもしれませんけど。」
彼はそう聞くと、吹き出すように笑いだした。
「出会った頃と君は変わらないな。大好きな君のままだ。」
彼はそういうと目をゆっくりと閉じ、眠りについた。
彼の冷たく固くなった手を握る。
「あと1000年は愛してあげますよ。」

2/3/2024, 2:42:05 PM