うーん…逆さまだと字がよく読めないな。
「ねぇ、ひっくり返して」
「ん」
「せんきゅ」
・・・いや、ちょっと待て。この字…もしかしてもしかすると!?
「(J)じゃなくて(し)になってるんだけど?アルファベット、小学生の頃に習ったよね?」
最近した会話。君が私に英語を教えてくれって頼むんだもん。スペルくらいは厳しくしないと。逆さまだったら危うく気づかないところだったわ。
今日も君と学校に残って勉強していく。でも今日は明日数検を控えている君のために特別数学の勉強を許可した。私は他の人の勉強を教える。金曜日。君と一緒に過ごす時間が増えればいいななんてわがままで叶うわけもなかった。
「さぁ、みんなそろそろ帰るぞー。学年主任の先生が見回りに来るから急げよ?」
先生の掛け声で一斉に帰り支度を始める。ものの数十秒。みんなで退散。
外に出ると雪が積もっていた。男子はみんな興奮して雪合戦を始めた。そしてその輪が広がって私達も雪玉を投げながら帰ることとなった。暗くて誰が投げたのかも分からない雪玉が宙を舞う。来週きっと注意されるだろう。でも今日くらいは許して欲しい。このメンバーでもうこんな青春、体験出来ないんだから。みんなで走ってみんなで投げて。スクールザックを開け合ったり追いかけ回したり。卒業前の悪あがき。そして少し落ち着いた時。君が私の所へ来た。君が私の手を握ってくれる。手袋越しでも伝わる君の体温。いつもは素手で力強く握ってくれるからか君を少しだけ遠く感じた。それでも集団下校のようなこの状況だからか君はすぐ手を離してしまった。金曜日。それは私にとってすごく良い日になった気がしただけ。まるで世界全部が逆さまに見えてしまうような…見えるくらいに心が振り回される金曜日。
題材「逆さま」
※8割寝て書いてます笑
12/6/2024, 2:14:30 PM