恋する乙女―小5女子―

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【秘密の場所】
今日もわたしはこの場所に足を踏み入れる。一歩歩くたびに、ピチョン、ピチョンと、水が跳ねる音がする。
ああ、懐かしい。あの頃を思い出すな。私たちだけの場所。…最後まで、約束を守ってくれたんだなあ。


―10年前。
わたし「はるとくん、はるとくん!」
はると「何だよ、どうした?」
わたし「秘密基地にちょうどいい洞窟みたいなところが見つかったんだ!行かない?」
はると「一人で行くのが怖いだけだろ。…まあでも、お前のことだし、何するかわからないし。ついてってやるよ。」

わたし「ほら!ここなら秘密基地、作れるでしょ?」
はると「…狭くないか?」
わたし「う、うるさいな!そこがいいんです〜!」
はると「ずっと、作りたいって言ってたもんな。」
わたし「でもなんか、『この二人のです!』っていう感じがないんだよな…。」
はると「じゃあ、この前母さんたちに撮ってもらった写真飾るのは?」
わたし「めっちゃ良い!あの写真、二人とも笑顔だもんね。」
はると「それは母さんが無理やり笑えって言ったから…!」
わたし「あと、約束なんだけど、ここのこと、絶対誰にも言っちゃだめだよ!」
はると「当たり前だろ。『秘密』基地なんだから。」


そんなこと言いながら、二人でたくさん笑ったな。その後も、ずっとここで遊んでた。
…はるとくんが死んじゃう、その日まで。ここで二人で遊んでたら、急に倒れるんだもん。
ほんとにびっくりしたし、何よりも、怖かった。一人になるのが、怖かった。
その後私、頑張ってはるとくんのことおんぶして家まで連れて行ったんだよね。
どうしても秘密基地のこと、知られたくなかったから。二人きりのものにしたかったから。
はるとくんは、もういない。でも、思い出は全て、ここにある。
誰にも荒らされることなく、きれいに保管されたままの写真を見て、私は言う。
「はるとくん、ずっと言えなかったけど、好きだった。他の誰より、大好きだったよ。
 …私もいつか、会いに行くから、待っててね。」
写真に映るはるとくんの笑顔は、いつもより愛らしく見えた。


―――設定―――
10年前=5歳の頃、今=15歳、と思ってください。本編に書くことができなくて、すみません💦

3/8/2025, 11:11:14 AM