「ただ、」
言ってほしい言葉があるんだ。耳障りのいい慰めや励ましよりずっとマシなものだよ。
SNSで嘘か本当か分からないような専門知識や当事者の愚痴なんかが流れてくることもあるでしょ。それを少しくらい活用して言葉を選んでくれてもいいんじゃないかって思うんだ。
ああ、SNSは見ないんだっけ。じゃあその手に持ってるスマホで検索してみたらどうなの。ほらよくお店とか調べるのに使ってるでしょ。
そんな手間をかけたくないか、そうかそうか。
「病んでるっていうより怒ってるんだよ」
あなたの希望に沿ってアレコレ調べて提案しても、不機嫌になって全く別の案を自分で決めるじゃない。そして私がそれに従うのを前提に予定の確認もせずに実行する。
無理だといえばまた不機嫌になって予定をずらせと喚き散らすし、行きたくないといえば陰キャだのダメなやつだの好き勝手なことを言う。
ねえ、これでもまだ私が病んでいると言いたいのかな。
落ち込んでなんかいないよ、期待してないからね
悲しくはないよ、思い返せば初めからそうだったから
つらくはないよ、変わらないことは理解してるから
「まあ、でも、痛かったかな」
もう何の凹凸もない腹を撫でる。たった数ヶ月のことなのに人生の大半を過ごしたかのような心地なんだ。
ずっと盲信してきた自分自身が許せない。そっと肩を抱いたその手でお前がしたことをもう忘れたのか、と怒りと吐き気が止まらない。
でもね、ふとした瞬間にみせる後悔の滲んだ表情に安堵することもあったんだよ。そんなものは一瞬で消え去って、どす黒い感情だけ私の内に降り積もっているの。
「ほら、私が欲しい言葉わかるでしょ」
謝罪とかいらないから償えよ、殺人犯め
【題:ふとした瞬間】
4/27/2026, 3:04:55 PM