300字小説
変わらぬヒーロー
君は僕の子供時代の憧れだった。チビで気の弱い僕にとって太陽のような存在。両親に頼み込んで連れて行って貰ったヒーローショーで、握手の列に並んだものの、緊張して固まってしまった僕に優しく手を差し伸べてくれた。
あのときから君は僕の一番のヒーローになった。
そして君は今、リメイクされて、あの頃のように活躍している。
「お父さん! 僕、会いに行きたい!」
息子に懇願されて、一緒に行ったヒーローショー。ショーが終わり、写真撮影の列に並ぶ。
「……お……応援してます……」
あのときの僕のようにガチガチに緊張した息子に、君はあのときのように手を差し伸べてくれる。
君と並ぶ息子。その満面の笑顔を僕はスマホのカメラに納めた。
お題「君は今」
2/26/2024, 11:23:43 AM