夢を見ていたい
夢が現実よりリアルに感じる時がある。
どちらの自分が存在しているのかわからない、と昔の偉い人が言っていたけど俺もその通りだ。
「あのね、別れたいの」
呼び出された喫茶店で呆然とする俺は、彼女の言いたいことをまともに聞いていたかどうかも怪しかった。
コレは夢か、現実かわからなかったからだ。
じゃあ、と席を立った彼女が居なくなってからしばらくして冷めたコーヒーに口をつける。
苦い、しかし味が薄い。
これは現実か、と受け入れた時にぐしゃりと髪を掻いた。
頭皮の痛みで消せないほど、心が痛かった。
しばらくして、ようやく心の折り合いがついたころ。
「あのね、別れたいの」
隣で寝ていた彼女が唐突に告げた。
……おかしい、彼女とは別れたはずだったような、という違和感。
そうか、別れ話は全部夢だったのかと思い無言で抱きしめようとする。
すると、何をするの!叫んだ彼女に引っ叩かれた。
ーー痛くない。
まだ夢の中の愚かな俺は平身低頭、彼女に謝って復縁を迫る決意をする。
まだまだ起きれそうにない、夢を見ていたかった。
1/13/2026, 4:13:55 PM