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耳を澄ますと…( ˘ω˘)
「最近文字数多すぎ。悪い癖が出ているわよ」
…初代の声だ。
確かに、最近文字数が多くなっている。忠告有り難く受け取っておこう。気をつけなくては。

「うーうー。僕は…、僕は…」

続いて聞こえてきたのは、一人混沌の海で苦しんでいる博士の声だ。
普段は穏やかで理知的な博士だが、助手からの過剰評価と自身の脇の甘さ、そしてよくわからない感情に、ほとほと困り果てているようだ。
博士は、つい、からかいたくなってしまうキャラクターをしている。けれど、混沌の海に溺れたままはいくらなんでも可哀想だ。

さて、どうしようか。

思案しようとした瞬間、荒れた声が響いた。

「俺達の場所に入ってくんじゃねえ」
屋上組の彼が、珍しく怒りを露わにして息巻いている。
冷めた感覚の持ち主なのに、こうも怒るとは珍しい。

ふむ。

穏やかで理知的と設定した人が混沌の海で苦しみ、普段冷めた感覚と設定した人が激昂している。

本来私が意図したところとは別に、キャラクターが個性を持つようになってきたようだ。
ともすれば、こちらがいくら意図を持ったとしてもその通りに動いてくれないのは、仕方がないことなのかもしれない。

彼ら自身で表現したいことがあるのだろう。
ならば、私は耳を澄まし、彼らの声を拾い上げれば良い。

そんな創作も面白そうではないか。

5/4/2024, 2:28:03 PM