室生犀星先生の
『靴下』を読んで
ふと思い出す
私にはもう一人兄弟がいたことを
兄弟だった子の
名前を私は知らない
兄弟だった子は
外の世界を知らない
なぜかそのことを
ふと思い出す
乗り換えで降りた駅
普段は買わない
抹茶キャラメルを手にする
この気持は何だろう
渇いた口にひとつ放り込む
執拗な甘苦さに喉が渇く
その子の哀しみ 私は知らない
その子の哀しみ 私は考えることしか出来ない
名前の知らない兄弟の分
私は知らなければならない
世界を知らずに死ぬ訳にはいかない
見つめた線路の先には青空
私の生きるべき道に見えた
〜この道の先に〜
7/3/2024, 11:05:36 AM