IROHA

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私は今日も働く…。

今日は小さな子供たちを迎えに行く。
正直、気が進まない。
まぁ、年齢がいくつであっても気は進まないけども。

まだ数年、数ヶ月、数日…の世界しか知らない子供たち。
もっとやりたいことがあっただろう。
もっと家族と一緒に居たかっただろう。
もっともっと…広い世界を見たかっただろう。
そんなことを考えて、足を止める。

白い靄が薄くなると子供たちが不安そうに立っていた。

「おいで。こっちだよ。」

私は努めて優しく言う。
以前、迎えに行った年配の女性に
『死神様は顔が怖いから、声だけは優しい方が良いわよ』
と言われたことがある。
彼女の命も綺麗な色をしていた。

子供たちを優しく手招きして、
靄の先にある湖に連れていく。

1人…また1人…と、静かに湖に吸い込まれて、
小さな小さな炎が浮かぶ。
しばらく浮かんでいた炎がだんだんと消えかかって、
やがて、最期の炎が消えたとき、
キラキラと輝く蒸気が上へ上へと昇っていった。

「さようなら。次に会うときは、もっと大きくなってからがいいかな。」

私は今日も働く。

人の命が燃え尽きるまでを見届ける為に…。

9/14/2022, 2:40:29 PM