ラフロイグ

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いつにも増して部屋は綺麗に整頓されている。
高台にある5階建てのマンションの5階。
開け広げられた窓から風が吹き抜ける。
3年以上通いつめた部屋だが、今日の風はどこか冷たい。

テーブルの真ん中に一輪の花、その奥の対面に座る彼女。
無言のまま私を見つめている。

この香り…「ゼラニウム?」
彼女は私を見据えたままコクリと頷いた。

白のゼラニウム…か

私はスペアキーを取り出しテーブルに置くと、無言のまま玄関を後にした。


——— 一輪の花 ———

2/25/2025, 7:05:44 AM