曖昧よもぎ(あまいよもぎ)

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もう一歩だけ、この脚を踏み出すことができれなばな。

あなたに近付きたくて、触れたくて、身体を動かそうとするけれど、

あなたはそれを拒んでしまう。

もう一歩だけ、おねがい。

もう一歩だけ、進ませて。

私は動けず硬直を保つしかない。

タイミングを見計らって動こうとしても、あなたはすぐに私の動きを制する。

もう私のことが嫌いなのかと疑うレベルだ。

でも、ようやっと、時は来た。

じりじりと砂とスニーカーの擦れる音が鳴る。

あなたの背中がまだ見える。

行ける、と確信した。

僅かに私の手があなたに触れたのが速かった。

負けてしまったと照れるあなたの顔を、直視できなかった。



初夏晴天の下、少年の日の恋の記憶。

三十四作目「もう一歩だけ、」
私も少女時代には何度かやりました。あんまりルール分かってなかったけど

8/25/2025, 10:22:58 PM