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春日部のショッピングモール、ララガーデンには多種多様な花を売る店がある。
仕事帰りに、買い物のついでに、花の香りに誘われるように私はその店に花を買いに行く。

大学を卒業したばかりの頃、私は当時付き合っていた彼とすぐに結婚するつもりで就職せずカフェでアルバイトを続けていた。
カフェのお客さんや彼から、私はときどき綺麗な花束をもらった。もらう時は嬉しい。心ときめく。相手は私が花を喜ぶと思って私に似合う色とりどりの美しい花を選んでくれているのだから。
でも、私は花束をもらってもそのまま放置したり、気が向いて花瓶に活けても一度きりで水を替えたりしなかった。基本、花に興味がなかったのだ。だから、私は美しい花々もすぐに枯らしてしまった。
醜く枯れていく花を見るのは辛かったし嫌だった。何日も水を替えていない花瓶からは、まるで衰えていく花が発するかのような腐敗臭がした。

あれから何十年も経ち、結局私は当時の彼とは結婚しなかった。そして、誰かから美しい花を贈られることもなくなった。
そして、自身が花の盛りを過ぎてから自分で花を買い求めるようになった。
今日も私は、花を買う。自らが失ってしまった美しさとその香りに誘われるように。

3/16/2025, 2:57:52 PM