葬四季

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空白

才能なんてなかった。
周りの人は綺麗に咲く赤い薔薇のようで、
その棘で僕の手や心を刺していた。

「努力は裏切らないって聞いたのになぁ。」

独学で開花する天才に、僕はなれなかった。

逃げたら今まで費やした時間が無駄らしい。
でも追っても追っても追いつけない。
成長を助けてくれる人間の手も雨も栄養もない。
色を付けてくれる塗料も、一番必要な紙すらもない。
僕は薔薇にはなれない。
栄養も味もない涙が零れて仕方ない。

蕾にもなれないまま、
このまま埋もれて死んでしまおうか。
そう思っても仕方のない空虚が、
この心に住み着いてしまった。

9/13/2025, 11:35:53 AM