久しぶりに幼馴染と待ち合わせをした。
幼小中と同じだったので毎日一緒に帰っていたのに高校は別のところに通っているので不思議な感じだ。
何処か気まずい雰囲気の中、「最近どう?」なんて当たり障りのない雑談をしながら歩くと突然思い出したように「あっ!」と彼女は大きな声を出してニコッと笑った。
「どうしたの?ニヤニヤして」
「え〜、どうしよっかなぁ?言っちゃおーかな」
いたずらっ子な笑みを浮かべてこちらを覗き込む彼女に少し嫌な予感がしたから「じゃあもう聞かない」と意地悪を言った。
「ちょっと聞いてよ〜!」なんて言って不満そうな彼女を放って歩くペースを早める。
彼女は慌てて追いかけてきて私のリュックを掴むので驚いて後ろに転けそうになった。
「ちょっと、危ないでしょ」
少しの沈黙の後、彼女は頬を夕日で赤く染めながら秘密を打ち明けるように言う。
「あのね、彼氏できた。」
私の10数年の片想いは結局の所実らなかった。
「え〜!どんな人?」
なんて質問してあげると彼女は嬉しそうに笑う。
本当に可愛い。
「ね、寒いから手繋いでいい?」
「いいよ」
彼女の手を握るととても冷たかった。
「私の手冷たいでしょ?」
「それな、冷たすぎ!私が温めてあげる〜」
「やったぁ」
二人でクスクス笑いながら帰る帰り道。
そうだ、これでいい。
友達のままで、
ずっとこのまま。
1/13/2024, 7:50:18 AM