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君と一緒に

「家においでよ!」そう言って僕に手を
差し伸べてくれた君

檻の中に入れられ オークションで
売られるか それが叶わなかったら
無意味に殺処分されるのが決まっていた僕
奴隷になって生き延びるか

一つの現象として 生を淘汰されるか
それしかなかった。


そう....獣人である僕には、
それしか道が無かった。
君に出会うまでは....

最初は、人間である君の気まぐれで
僕は、生かされているのだと思った。

だけど 違った... 君は僕を檻から
出してくれただけで無く
いろいろな場所に連れて行ってくれた。

僕の手を引いて いろいろな物を
教えてくれた

いろいろな景色を見せてくれた。


春の暖かな日差しの中で咲き誇る
桜の花々 風に舞いひらひらと
舞い落ちる桜の花びらは 儚げで
すぐ地面に落ちて散ってしまう...
まるで 僕みたいだと思った。
地面に落ちて倒れても 誰にも
気に止めて貰えない僕みたいな桜

でも君は、地面に落ちて土に塗れた
桜の花びらを 一つ一つ拾い

「綺麗だね!」と笑った。

僕はその言葉を聞いて目を丸くした。
(綺麗.... 何で...汚く泥に塗れて居るのに)


「散って行くのは 命を終えた訳じゃないって私は思う きっと一生懸命に生きて
来た証なんだと思う だから散って
舞って行く桜の花びらは 私は
綺麗だと思うんだ!」

そう言って笑う君の笑顔が僕には

泣きたくなる程 暖かかった。

他にも君は 夏の青々とした緑の葉の濃さや   秋の色とりどりの葉の色彩や

冬のしんとした空気の中で佇む木々の
厳かさ 堂々とした佇まい

いろいろな季節の変化の風景の美しさを
教えてくれたね

君と一緒に過ごした時間は、
僕の心に色づきを齎してくれた。

君が僕に心をくれた。
ありがとう

誰かに出会えて良かったと思えるのは
初めての感情で....

願えるなら 君と一緒に過ごす時間が
いつまでも続きますように....

1/7/2024, 2:02:32 AM