─逃れられない呪縛─
『終わりにしようか。』
飛び降りたはずだった。
何で生きてるんだろう。
目を開ければ白い天井。
馴染みのある薬品の箱。
身体中に巻かれた包帯。
この景色を見るのは、これで何回目だろうか。
何回も飛び降りて、僕だけ生き残る。
毎回、一緒に飛び降りたはずの人だけ亡くなる。
最近の夢では、「一緒にって言ったのに。」「嘘つき。」
そんな言葉を言われた。
きっと僕は、亡くなった人達に恨まれてるのだろう。
この恨みの足枷は、死ぬまで外れることはなく、
まるで逃れられない呪縛のようについてくるだろう。
僕だけ生きてごめんなさい。次で終わりにするから。
そう僕の本心を話した看護師と僕は今、屋上に居る。
『次こそ失敗しないから。』
5/23/2023, 1:10:59 PM