かたいなか

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「来た『快晴』!空テーマ!」
空関係のお題、意外と多い説。昨日閃いたその矢先に「快晴」の2文字である。自説への手応えに、某所在住物書きは拳を握って両手を挙げた。
「これは、意外と信頼性、あるかもしんねぇな!」
曇り空、通り雨、夕焼けに夜風。昨日に引き続き、調子に乗った物書きは空関係の単語をメモに残すが……
「……ただまぁ、問題は実際に書けるかどうかよな」

――――――

職場の先輩が、職場で倒れかけた。
原因はハッキリしてた。上司にゴマスリばっかで自分はロクに仕事しない、後増利係長のせいだ。
ゴマスリ係長は先週、自分に回ってきた面倒な仕事を、14日期限で先輩に丸投げしてきた。
それは本当なら3〜4週間かかる量の仕事だった。

私も分かるところだけでも手伝って、
先輩なんかは上司の邪魔が入らないよう定時で帰って自宅でリモートワークして、
ゴマスリはその定時帰宅を気に入らないらしくて、
追加でひとつ仕事増やされたけど、先輩は、期限前日の今日の午前中でそれを係長決裁に回して、
それで、期限以内に仕事を終わらせた先輩に、ゴマスリが立て続けにひとつ仕事を割り振った。

席に戻ってきた先輩はすごく疲れた顔をしてて、ため息をついて椅子を、
掴む前に、肩が体が右斜めにグラついて、落ちるように床に膝をついて。
「なんでもない」って顔面蒼白で言う先輩を、無理矢理私が休憩室まで連れてって、ソファーに寝かせた。

上司連中は先輩のこと何も知らないくせに、勝手に「体調管理がなってない」とか「どうせ定時帰宅して、夜通しゲームでもしてたんだろ」とか。
メッチャ張っ倒してやりたかったけど、寝てる先輩に袖すごく強く掴まれたから、ガッッツリ嫌味な皮肉とド正論を投げるだけ投げて、それで我慢してやった。

「すまない。……面倒をかけた」
いつもと違って弱々しい声の先輩が、ソファーに横になって、黄砂さえ無けりゃ快晴だったかもしれない窓の外を見ながら言った。
「黄砂が落ち着いたら、快晴予報の日にでも、……今日の、埋め合わせを」
クソ上司から仕事振られたのも、職場で倒れかけたのも、その対処を私にさせて、私の仕事時間を削ったのも。全部自分で背負い込もうとする先輩が、
寂しくて、痛ましくて、少し苛立たしかった。

なんでウチの職場は下っ端を使い潰すことしか考えないんだろう。
なんで、ウチの職場は真面目なひとをこんなに食いモノにするんだろう。
なんでそれを「おかしい」って言えないんだろう。

「来週また黄砂来るらしいから当分ムリでーす」
ゴマスリほか、ともかくクズな上司にふつふつイライラが湧いてくるのを、抑えつつ先輩に言葉を返す。
対する先輩は、それは困ったな、って苦笑で、小さいため息をひとつ吐いた。

4/13/2023, 11:15:03 AM