「なぜ泣くの?」と聞かれたから、あなたの言葉に傷ついたと答えた。
だけど、本人は悪いと思っていないみたいで、首を傾げている。
「言葉はね。時には凶器になるんだよ」
私が具体的に言っても、やっぱり分かっていない様子だった。
どうやら、この人とは相性が悪いようだ。
涙をハンカチで拭きすぎたのか、目の下が少しヒリヒリする。
「さようなら」
別れを告げ、早足でその場から去った。
私って、どうしてこんなに男運が悪いのだろう?
私のことを分かってくれる、優しい人はいないかな……。
「きゃっ!」
段差に気づかず、足が滑って身体が前へ倒れていく。
「危ない!」
近くにいた男性が、倒れる私を支えてくれた。
「大丈夫ですか?怪我は?」
「だ、大丈夫です……」
まさかこの男性が、私の旦那になるとは、この時は思いもしなかった。
8/19/2025, 10:15:39 PM