あなたの澄んだ瞳は、キレイな泉のよう。
あまりにキレイだから、あなたの瞳に私の醜い顔がくっきり映ってしまう。
私はまるで鏡を見ているような気分になって、あなたの顔を見ることが出来ない。
「どうして顔を逸らすの?」
だなんて言わないで。
あなたのそのキレイでまっすぐな眼差しは私の汚い心をグサグサと刺すの。
あなたがキレイであればあるだけ、私は自分の醜さを痛感してしまう。
お願いだから、キタナイ私をこれ以上見ないで。
/7/30『澄んだ瞳』
ガタガタと荒い風が窓を鳴らす。
小さな君は怖がって僕のひざの上で震えている。
――こわい、こわい、嵐がくる日は誰かがいなくなってしまう。
そう言ってガタガタ震える君を、僕はなだめるように背中を撫でる。
大丈夫。今日は僕が隣りにいるから大丈夫。
たとえどこかで誰かがいなくなったとしても、君の前からは誰もいなくならないよ。
僕が隣りにいるよ。
寝るのがこわいと泣き渋る君。
二人きりの家から誰かが――僕が――いなくなるのがこわいと
外の雨のように涙をこぼす君。
濡れるひざがすっかり冷たくなった頃、君はようやく眠りについた。
だけど、僕は君から離れることはしないよ。
雨がやみ、夜が明けるまで。
/7/29『嵐が来ようとも』
7/31/2023, 6:51:24 AM