小音葉

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火の粉が降る
気紛れに弾けて、流星のように

ぎらついた光を携えて、空の器に散り積もる
高く飛ばんと駆った翼は地に墜ちて
嘆き悲しむ残響すら掻き消す崩落の中
砕けてぶら下がる私の欠片を、君は泣いて拾い集めた
虚ろな瞳、乾いた髪、歪に曲がる指
燃え滓に紛れた灰すらも、君は黙って掬い上げた
作り立ての声帯から絞り出される痛哭に
その肩を叩く手も失った私は愛憎に酔い痴れて
孤独な背に、罰のように寄り添って
いつまでも、いつまでも

それは夜明け前の狂乱
ただ、覚醒に安堵する

災厄など訪れていない、終焉ならば免れた
灼けた空から届いた希望を忘れない
君はまだ安寧の沼を漂っている
温もりを確かめる、青い口付けを落として
僅かばかり丸みを帯びた頬に触れてみる
君が取り戻してきた熱、命懸けの選択
何者にも穢せない美しい翼
例え一夜の幻でも、穢すことは許されない
隠された傷を分かち合う、そんな夢なら良いけれど

窓を開ければしんしんと
私を迎える冷たい雫
立ち込める淀みを濯ぐ透明なゆらぎ
きっとまた罪を重ねるけれど
いつか倒れる日が来ようとも
あと少しだけ二人を閉じ込めていて
薄暗い檻でもここがきっと天国だから

私を呼ぶ声がする
背に飛び込む前に、振り返って両手を広げる

(やさしい雨音)

5/25/2025, 11:07:47 AM