人々は水を見つけた。
今までの、飲むことの難しい青い水ではなく、
透明な、水を見つけたのである。
人々はそれを喜び、
大事に飲んだ。
しかしその水が大量に湧き出てくることを知った途端、
大事さは薄れた。
大切さが透明化した。
次第に、人々は色を付け始めた。
次に、香りを付けた。
人々は好きなように透明な水の、
透明度を奪っていった。
そして、元の青い水すら、透明に見え始めた頃、
透明な水は尽きてしまい、
水には全て色が入ってしまったのである。
「透明な水」
5/22/2023, 1:32:55 PM