それは確かに昨日まで、数十時間前まで確かに在ったものだ。笑い声や表情、活力、そして暖かい温もりも。今まで在ったものが、無くなった。
初めは悲しかった。辛くて悲しくて泣きたくなって、明日になったらまたお話できるんだと思いたかった。
そのうちに片手で数えられる程になって泣かなくなった。しばらく経ったら両手で数えられないようになった。辛くはあるけれど、慣れたというのが正しい表現に近しいのだろう。慣れてしまったことが今は何より悲しい。
身体を綺麗に整えられて家族と共に病室から去っていく。通り過ぎる姿を見て、お辞儀をして見送る。そうしてまた私は生きていくのだ。それが選んだ生き方だから。
8/2/2023, 12:28:00 PM