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 別れ際に 
 
 「ねぇ…。」
君との帰り道、別れ際にそう言われた。びっくりした。
いつもは、犬みたいに懐いて私の周りをキャンキャン吠えるように明るくてうざったるい君なのに…今日は違った。私が何を話しても君はずっと上の空だった。今まで冷たくあしらい過ぎた結果、飽きられてしまった…好きな人でも出来たんだろうそう思っていた。だから、明日からは君と距離を置いてすこし様子を見ようそんなふうに思っていた。気まずい空気が二人を囲う。タイミングよく君と別れる分岐点にいた。
「じゃあ…ばいばい。」
私はそう言い、前を向いて歩き始めた。すると、後ろから誰かに手首を掴まれた。驚いて振り向くと、涙を目に溜めて私の手首を掴む君がいた。君は震えながら、
「ねぇ…。僕ってそんなにも君の瞳に映らない?僕の想いは伝わってる?ずっと僕は、君だけを映してるのに…。僕のこと…どう想ってるの?」
そう言った。その瞬間に私は、胸がすこし苦しくなった。気づいてしまったんだ。いや、気づいていたけれど、気づいていない振りをしていた。君には申し訳ないけど、子犬のような君の性格が好きで冷たい態度を取ってしまっていた。この瞬間までも、可愛くて愛おしく感じてしまった私は
「あなたの事好きよ。なんなら、あなた以上にね…。」と。すると君の耳が異常に赤くなり、私からの思わぬ答えに驚いて固まっていた。

いつも、私は君に意地悪なことをしてしまう。どんな意地悪か分かるでしょ?
"君を困らせる事"が私は好きなの。君が困っているその顔が死ぬほど好きなの。だから、これからもずっと子犬みたいに私だけに懐いてね?


9/28/2024, 3:10:36 PM