窓を開けると、冷たい空気が喉を刺す。眠気が吹っ飛び、全身に血が駆け巡るのを感じる。ベッドに戻りたい煩悩なんて忘れて、一気に目が覚める。そして、身を切るような寒さに体を震わせる。
毎日、毎日、これを繰り返している。朝日を浴びると体にいいだとか、新鮮な空気を部屋に取り込むべきだとか。自分磨きにハマった時にネットの情報を鵜呑みにして、何となく始めてみた。それが今も続いている。
本当にこんなことに意味があるのだろうか。文明が生み出した温かい空間を捨てて、毎朝こんな寒空に一人佇んでる。風邪をひいてしまったら元も子もないじゃないか。頭の中で、意地悪な声が語りかけてくる。確かにその通りだ。でも……
「こうしてると、まだ君と繋がってる気がするから……」
君がいなくなってからもう2ヶ月と少し。僕は毎日空を見てる。ベランダに出ると、目が勝手に君を探してしまう。太陽よりも明るい笑顔で「おはよう」って言う君の顔を。
「いい加減成長しろよ」
呆れたように自分にそう言って聞かせる。多分、まだ変われないだろうなって、わかってるけど。
軽い溜め息を吐いて、ノロノロと部屋に戻る。太陽のいないベランダは、今日もどんよりとした曇り空だ。
『物憂げな空』
2/25/2024, 1:57:27 PM