はた織

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 ただ本が読みたい。
 一緒に本が読みたい。

 互いに読みたい本と向き合うだけでいい。
 言葉を交わさなくてもいい。
 あなたとは背中合わせでいい。
 温もりと鼓動とかすかな神経の伝達を
 ふたりの脊椎に感じさせればそれでいい。

 時折耳元に聞こえるのは、
 ページをめくる音、紙と皮膚のひびき、
 唾を呑み込む喉元、思わず漏れる溜め息、
 乾いた口の咳払い、涙混じりにすする鼻先、
 暇つぶしに鳴らす手足の間接、飽きたあくび。

 読書に包まれた静穏の中を
 あなたと一緒にいたい。
               (250106 君と一緒に)

1/6/2025, 12:57:02 PM