明けない夜はない、なんて誰かが言った。
やまない雨はない、とも誰かが言った。
違うの。違うんだよ。
明けて欲しくないし、やんで欲しくなかったの。
私はずっと暗がりの闇の中で雨に打たれていたかった。
だって一番下にいる間だけは、本当は輝いていない世界さえ、輝いて見えるようになるから。
悲嘆に明け暮れて、世界を恨むことに罪悪感を感じずに済むから。
自分で努力することを諦めても仕方がないと言い訳が出来るから。
自分が惨めだと、卑怯だと、感じたくないから、知りたくないから、思い出したくないから。夜明けのように眩しく開いた扉から逃げるように目を閉じた。
9/13/2023, 1:06:46 PM