北極星は、南の形を夢見た

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#7 【夢を見てたい】

ふわふわと
ゆめからさめた

ふわふわと
あなたにあいたい

ふわふわと
ゆめみごこち

ふわふわと
"あくむ"にひたる

ふわふわと
あなたのこえ、におい
なでる、かんしょくが、のこって…

『あいしてる』

あぁ

ずっとこのまま

夢を見てたい

ふわふわ、と
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#7.5 【酔生夢死】

ガチャ

心配のため息は、安堵にかわった

部屋中に、ふわっと漂うお酒とタバコ
「はぁ、酔っぱらいめ…」

「そういじけた顔すんなよ~」
ぷくっとふくれる火照ったあなたの顔

「ただいま」
暖かくて角張った手で、ふわふわ、と撫でられる
「…おかえりなさい」

きょうも、『あいしている』

その言葉は、わたしの命綱だ


この、タルタロスの奈落のような世界で


A.どうしてこの世は、生きづらくなったのか

Q.人類は今、これまでの
「夢の代償」を払わされているからだ


戦争による惨劇
AI擬似問題
不祥事

夢心地にひたる、ふしだらな人間に
怒ったハデスは裁きを下した、のだろうか

突然、深淵に投げ込まれた人類は
必死に、もがき、苦しみ

自分たちの楽園を探したが

とうとう、その窮屈で不安定な世の中に
耐えられなくなってしまった

誹謗中傷
自殺者数の増加
フェイクニュース

それらは、煙のように立ち込め
青い空を覆い尽くし

いつしか、人間は、抗うことを放棄した

そんな世の中だから、正義感に溢れた貴方が

徐々に、壊れてしまいそうで

恐ろしいのだ
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暗く、淡い月の光が刺す部屋には
心臓の鼓動だけが響いていて

逆光に照らされたあなたは

今にも消えてしまいそうなくらい
ぼんやりと儚く、私の目に映った

「どうしたの?」

見つめる瞳は、淡いグレー。
その目に、私が写っていることが
何より嬉しかった

わたしの心は今、嬉しさと不安のトルネードで
入り乱れている


「なんでもないよ」

途端、あなたは私を抱き締めた
その、37℃の体温に全てを覆い尽くされる

「…泣いてるのに?」

ゆっくりと、わたしの背中を愛撫する手

近づく鼻息、揺れる黒髪
ゴツゴツした優しい肌
甘く囁くあなたの声

鼻腔にトロリと残る、タバコの匂い

涙が溢れるほどに安心する
あなたのぬくもり

あぁ、おねがい

離さないで

離れてしまえば、
あなたがどこかに
いってしまいそうだから

宇宙のように、手を離したら
もう二度と、会えなくなってしまいそうだから

あなたがいるなら、価値あるものは
なにもいらない。

あなたがいるなら、
こんな世界を無視して、
気持ちのいい朝を迎えられる

あなたがいるから、わたしがいる

このまま、酔生夢死のごとく
深く、あなたに、酔うように生きて

夢心地の中、溺れるように、死にたい



『あいしてる』



たとえ、それを、世界が許してくれなくても








1/13/2024, 11:27:45 AM