この世界は輝いてる
ルンルン♪
私はスキップしながら歩いていた。
雨上がりの美しい青い空、ふわふわした雲。
水滴の残るあじさいにはカタツムリが這ってる。
全てが綺麗でステキな世界。
前方に登校中のタカシくんを見つける。
「おはよー!」
私が満面の笑みで話すと、タカシくんは私をチラッと見たきり視線を前に戻した。
「・・・おす」
「タカシくんも、雨上がりの美しさに感動していたの?!」
私がクルッと回って楽しい気持ちに浸って言うと、タカシくんは、首を降って言う。
「嫌。最悪。そもそも雨嫌いだし、雨降った後って湿度でじめじめするし、靴汚れるし、俺の嫌いなカタツムリもいるし。本当、朝から気分悪い」
「えっ、そうなの?タカシくん、晴れの方が好きなんだ〜!そっかー♪晴れの日も、気持ちいいよね!明日は晴れるかなぁ?」
私は、タカシくんの言葉に、明日の晴れの日に想いをはせた。
タカシくんは、眉を少しひそめながら言う。
「晴れだって、暑くなるのは、俺は嫌いなんだよ。汗出るし、日差し強い中、学校行くなんてだるいだろ」
ゆっくりと歩きながら叩き出すように言葉を発するタカシくん。
「うんうん、暑さと日差しには、日傘とかオススメ!私、こないだお気に入りの日傘買ったんだ。そうそう、最近携帯扇風機流行ってるんだって〜!タカシくんも買ってみたら?あ、一緒に買いに行ってみる?」
私の言葉にタカシくんは激しく首を振る。
「は?なんで一緒に行く必要あんの?別にいいよ、携帯扇風機とか高いし、お金もったいないし。おまえってなんかズレてるよな、いつも」
「ありがとー褒めてくれて♪私いつも褒めてもらえるんだ、嬉しいなー。じゃあ、扇風機買ったら一緒に使おうね?タカシくんと一緒に使ったら登校きっと楽しくなるねっ!」
私の言葉に、タカシくんは、ギョッとしたような顔をして見てくる。
「何言ってんだよ!そもそも褒めてないよ。・・・はぁ、もう・・・面倒臭いからそれでいいよ」
タカシくんがそう言ってくれるので、私はますます楽しい気持ちになってくる。
「タカシくんって、優しい♪」
「優しいって定義、完全に間違えてると思う・・・」
タカシくんは呆れたような顔で私の顔を見る。
何か、こうしてしっかり顔を見られるのは初めてかも・・・。
「まっ、でもこうして面白人間に会えて退屈はしてないかもな」
「え?誰のこと?」
面白人間を見たくてキョロキョロする私にタカシくんは「マジか」と信じられないものを見るかのような視線を向けて来た。
「行くぞ、遅刻する」
「はーい♪」
さっさと歩くタカシくんの後を、私は弾んだ足取りで追いかけた。
今日も私の世界は輝いてる。
1/15/2024, 11:21:03 AM