喜村

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 どこかの大昔の預言者が、今日、世界が滅びると記述をしていたらしい。
そういう預言は、過去に何度かあった。
でも、滅びず今がある。
 しかし、今回はそうとは違うらしい。

 テレビをつけると、どこの番組も同じニュースを流している。
『巨大隕石接近中』とタイトルにはあった。
 世界中が混乱しないように、政府の中で隠していたらしい。あと12時間で到達すると言っている。
 恐竜が滅びた時以上の規模だとか、北半球の方に落下予定だとか。不安を煽ることばかり言っていた。
「朝からずっと同じニュースなんてみててもつまんないよー」
 彼女は俺の隣のソファーに座って、テレビの電源を切る。暗くなったテレビに俺と彼女が写った。
「なるようにしかならないでしょ? たまたまお泊まりデートの日でよかったねー」
「……よかったのか?」
「一人ぼっちで死ぬよりいいじゃん」
 世界の終わりに君と過ごす何気ない日常。
これからどうするのか、どうなってしまうか、わからない。
わからないけれど、君と一緒ならどうにかできるかな、と謎の安心に包まれた。
 彼女は、ねっ?、と俺の反応を伺う。
「そうだな、一人ぼっちより、好きな人と一緒のほうがいい」
 世界の終わりまで、隕石の落下まで、あと三時間と、最後俺がみたニュースには書いてあった。


【世界の終わりに君と】

6/7/2023, 11:00:54 AM