涙
幼い頃、メソメソしてはいけないといつも言われた。仕事を持つ母は、メソメソ泣かれては困るからだったのだろう。ところが、私は気の弱くて泣き虫だった。早生まれで何かと遅く、出来ない事だらけだったのだ。その度に困ってはメソメソし、そして誰かに叱られた。いつからか口を真一文字に結んで、泣かなくなった。すっかり泣かない人となった。強くなったのでは無い。泣く事は悪い事と刷り込まれたのだ。しかし、いつだって泣いたほうが勝ちになるし、得をする。泣いている子が可哀想がられて、優しくされる。泣かない私は、譲ってあげてねと言われ、優しいねなんて言われるけれど、それでお終い。いつも我慢する役回りだ。
初めて習ったヨガで、息を吐く事を教えて頂いた。溜息をつく事さえ悪い事だと思っていたので、新鮮で涙が出た。もう真一文字に口を結んで頑張らない。自然に息を吐いて、涙を流そう。優しいのは卒業。
3/30/2025, 3:23:20 AM