「冬晴れ」それは、冬の少し暖かい、晴れた日のことを指す。
これは冬の季語として俳句などにも使われており、冬の俳句を閲覧する際に少し見かけることもある。
昔、私がまだ7歳くらいの頃だろうか。12月の下旬あたりの冬休みのとき、当たり前に毎日がすごく冷え込んでいた。そんな中テレビニュースで、とある1日だけ少し暖かくなるということを聞いた。だから私は母親に
「あの日は暖かくなるんだって!遊園地に行きたい!暖かい日なんだからたくさん遊びたい!」
とお願いをした。だがそのころ、上の兄は中学に進学する時期で、家にはお金も時間も余裕が無く、当然そんな甘い願いが受けいれて貰えるわけがなかった。
しかし、当時の幼い私は親の様子からなんとなく察していただけで、あまり家の状況理解ができなかったし、人の立場になって考えるということもほんの少し身についていた程度だった。そのため、どうしても諦めることができなかった上に、「親に嫌われてしまったからこんなこと言われてるのかな?」とマイナスな思考になってしまった。そのうち、悲しさや不安、恐怖などの色々な感情が津波のように押し寄せ、目から涙が溢れ出した。
溢れた涙は止まることを知らず、ずーっと赤子のように泣いて泣いて泣き喚いた。
やがて涙が止まる頃には目が酷く腫れ、喉をいためていた。そのあとも日が変わっても不貞腐れて続けている私を見兼ねた母親に、仕方なくピクニックに連れ出してもらった。
そのピクニックは、久しぶりの外出と豊かな大自然ということが相まり、とても楽しかった。大きな池で華麗に泳ぐ鯉の姿を眺め、鳥のさえずりや木々の擦れた音を楽しみ、木漏れ日に当たりながらおにぎりを口いっぱいに頬張る。まるで夢のような、素敵な体験だったといつ振り返っても心からそう感じる。
冬晴れの日にはいつも、この一世一代の思い出を思い出す。
1/5/2025, 2:15:12 PM