つつも

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【閉ざされた日記】

自分が小学生の頃、父と交換日記をしていた。
幼い頃、両親は離婚した。暫くしてから母は自分を含めた子供3人を連れて遠い実家へ帰った。
たまに父と電話をしていたが、ある日父が言った。
「ノート買ったから、交換日記をしよう」

それから3冊のノートが届き、それぞれ名前が書いてあるノートを開いた。正直、何が書いてあったか、自分が何を書いたか覚えていない。
ただ交換日記はしばらく続き、唐突に終わった。たしか、父に再婚相手ができたと知ってからだったと思う。

それから暫くして大人になった自分は懐かしい生まれ故郷を尋ねた。昔遊んだ場所、思い出の街。幼い記憶を呼び起こしながら色々廻った。
なんだか、おじいちゃんやおばあちゃんに会いたくなり、久しぶりに連絡をとった。
家を尋ねると父もいる。どうやらおばあちゃんが連絡したらしい。両親が離婚してからもしばらく遊んでくれた父だったが、なぜだか顔を思い出せないでいた。

「再婚こそしたけど遠慮せず会いに来てほしい」
父は言うが、子供だってもう2人いることも知ってる。気まず過ぎるだろと思ったが、以外にもすぐに打ち解けた。
話していくうちに、交換日記の話題になる。父はちょっと待て、と言って奥の部屋へ行く。暫くして1冊のノートを手に持って来た。
これしか無かった、と手にしていたのは弟の交換日記。
「家に戻ればあと2冊もあるかも知れない」
と父は言った。だけど、日記は自分のところでストップしていたような気がするが、それを口にはしなかった。

1/18/2024, 11:57:23 AM