【君と一緒に】
近々引越しを控えているため、僕は大掃除をしていた。身近にあるものを整理したあと、押し入れの中にある断捨離に取り掛かる。着なくなった服やオシャレなお菓子缶など、物の溢れかえった押し入れの中はちょっとした宝探しだ。
その時、僕はあるものに目がいった。
1冊の古いアルバム。大掃除あるあるだなと思いつつも、僕はそれを手に取ると最初のページを開いた。
それは赤ん坊の頃から記録している僕のアルバムだった。パラパラとめくっていると、一枚の写真に目が止まる。幼い僕によりそう1匹のトイプードル。
そうだ、彼はいつも僕と一緒だった。一緒に寝たり散歩したり、僕が泣いているとすぐにそばに来てくれていた。
残念ながら、彼は僕が中学に上がった頃に寿命で息を引き取ってしまった。
写真を見た僕は思わず押し入れにあった箱に手を伸ばす。中に入っていたのは犬用のリード。初めての友達を失ってしまった悲しみで、せめて思い出に残るものを持っていたいと思った当時の僕は、親にも内緒でずっとこのリードを持っていた。
しばらく眺めたあと、僕はこのリードを手放す決意をした。君と共にすごした思い出ならば、このアルバムにしっかり記録されているから。
1/6/2024, 12:35:12 PM