灯火を囲んでゆらゆらと毛先を揺らす蝋燭は隙間風を嫌う。風が強すぎると体を持っていかれそうになるから。「その理由なら分かるよ。冷たすぎる風は魂をも吹き消してしまいそうだからね」ボロボロの着物を羽織った青年が言った。暗い狭い隙間だらけの箱の中、青年のたった一人の話し相手は今にも消えてしまいそうな小さな灯火だけ。
11/7/2025, 11:36:53 AM