『フランシア』
すっかり寝ていたのに、突然眩しい光が差し込んで
私は目を開けた。
あれ?
どうして私はここにいるんだろう。
目の前に広がる風景は、まるでおとぎ話のようだ。
メルヘンで可愛いピンクなお城。見慣れないお洋服を着た人たち。それから、知らない匂い。
私は確か自分のベッドで寝たんじゃなかったか。
昨日、美味しいものをたくさん食べて、
それから……どうしたんだっけ?
ただただ、大きなお城や街ゆく人々を見て呆然としていると、一人の男性が話しかけてきた。
「どうしたの?迷った?」
おそらくここは城下町で、慣れない人は迷うのだろう。
「…………あ、」
迷ったわけではなくて、ここがどこか分からないんです。と答えようとした。…のだけれど、声は掠れて出ただけだった。
「声が出ない?大丈夫?
…それに、見たことのないお洋服だね。
とりあえず一緒においでよ、家はあるの?」
横に首を振ると、
「ないんだね、分かった。
じゃあ今日は僕の家に行こう。」
そう言って、彼は私を自分の家まで連れていってくれた。いったい私がいたところはどこへ行ってしまったのだろう。
「君はどこから来たの?
文字は書ける?」
家に入ると、早速質問をされる。
紙とペンを渡されたので、
私は
《フランス》
と書いた。
「フランス?ほんと?
フランスって言うのは、この国になる前の国の名前なんだって。この国、今はフランシアって言うの」
フランシア。これは未来なのか。
「そっか…、君は遥か過去から来たんだね」
少しだけ悲しそうな顔をした君は、
昔の話をしてくれた。
お題:目が覚めると
7/10/2024, 12:59:39 PM