また、始まった。
私の幾億年目の人生だ。
彼は私よりも先にいるらしい。不思議だな、私の方が先に「前回」を終わったはずなのに。
ここは、私が最近気に入っている世界。できたのはほんの一億数千年ほど前だけれど、かなり技術も進歩しているし、過ごしやすい。この間まで戦争とかいう争いが起きていたけれど、最近はあまり聞かなくなった。どの世界、どの時代でも生き物は争いを好むらしい。まったく、意味がわからないね。
まあ、いい。
私の敵はアレだけだ。
仲間はもう、ほとんどが役目を終えて、輪から外れた。残ったのは私と、彼だけだと思われる。
自分で動くのに、不自由がないくらいの歳になったら、彼に会いに行こう。今回も、敵が待ってくれるかはわからない。
失うのは、もう慣れた。
だが、私はいつか必ずすべてを取り戻してみせる。
記憶も、世界も、仲間も、すべて。
役目を終えて消えたのなら、幸せだったのかもしれないが、道徳心などというものはとうに捨てた。演技で誇張しないとわからないような感情には、鍵をかけて、心の奥深くにしまった。
私は、自己満足のために動く。
それが間違いだとしても。
「最初から人間じゃないんだから」
4/22/2024, 11:50:12 AM