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「流れ星の約束」

夜空を見上げると、無数の星々が瞬いていた。
「もうすぐだよ」
小さな黒猫のルカが、少女の肩にちょこんと乗って囁く。

今日は一年に一度だけ、空に橋が架かる日。
星々は願いを運ぶために、銀の光の道を渡るという。

「ねえルカ、願いって本当に叶うの?」
少女はそっと手を組む。
「叶うかどうかは、きっと願い方次第さ」
ルカは尻尾を揺らしながら答えた。

そのとき、一筋の流れ星が空を駆け抜ける。
少女は瞬間、目を閉じて願った。
“どうか、大切な人の心が笑顔で満たされますように”

星は銀の道を渡り終えると、ひときわ強く輝いて消えた。
そして…
遠く離れた場所で、疲れた顔をしていた人の心に、ふわりと小さなぬくもりが灯る。

ルカがにっこり笑った。
「ほらね。君の願いはちゃんと届いた」

少女の胸にも、星のかけらのような光が宿っていた。
願いとはきっと、自分の心をも優しく照らすものなのだ。

7/7/2025, 12:28:28 PM