ぷー

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誰からも嫌われる男がいた。

お金にがめつく、自分が儲けるためなら何でもする。

他人と関わることが嫌いで無愛想。

人から後ろ指を刺されようがお構いなし。

彼を見て人は言った。
「人の心がない」
「誰にも愛されない人間だ」
「きっとああいう奴は孤独に死んでいくさ」




そしてある日、男は死んだ。

男の葬式が開かれ、そこには彼の妻とまだ幼い娘がいた。

妻は涙ながらに言った。
「誰よりも愛のある人でした。」



男は数年前から病に犯されていた。

男は病と闘ったが、ある時自分の命が長くないことを悟った。

それから男は残される妻と娘のために、がむしゃらに働いた。自分がいなくなった後、妻と娘が不自由な生活を送ることがないようにと。

そして新しい人間関係を築くことを辞めた。自分が死んだ時、心を痛める人が少ないようにと。


そうして男は人生を終えた。
男は誰よりも家族を愛し、人を愛していた。

2/17/2023, 8:57:04 AM